電気もガスも使わず、新聞紙1部だけでご飯が炊ける──。タイガー魔法瓶から発売された「魔法のかまどごはん KMD-A100」は、そんな一見不可能とも思える機能を実現した画期的な製品です。
創業100周年を記念して開発されたこの商品は、発売と同時に大きな話題を呼び、各メディアでも取り上げられています。防災用品としてはもちろん、アウトドアや日常使いまで、幅広い用途で活用できる点が注目を集めています。
今回は実際に使用した体験をもとに、その性能や使い勝手を詳しく紹介していきます。
魔法のかまどごはんとは?基本情報と特徴
商品の基本スペック
- 商品名:魔法のかまどごはん KMD-A100
- メーカー:タイガー魔法瓶
- サイズ:幅約31.5×奥行約31.5×高さ約30.5cm(使用時)
- 重量:約3.7kg
- 炊飯容量:1〜5合(白米)、最大3合(炊込みご飯)
- 材質:本体/アルミニウム合金、内釜/アルミニウム合金(フッ素樹脂加工)
価格などは公式サイトにて↓
タイガー魔法瓶が開発した理由
開発のきっかけは、カスタマーサービス部に所属していた村田勝則氏のアイデアでした。廃棄予定の炊飯器の内釜を何かに活用できないかと考える中で、大学時代に新聞紙でご飯を炊いた経験を思い出したといいます。
そこから2年以上の開発期間を経て、現代のニーズに応える形で商品化が実現。特に以下の3つのポイントを重視して開発が進められました。
- 災害時でも使える信頼性の高さ
- 環境への配慮
- 誰でも簡単に使える操作性
商品の主な特長3つ
1. 新聞紙1部で炊飯可能
最大の特長は、新聞紙1部(約36ページ)だけでご飯が炊けること。3合のご飯を炊くのに必要な燃料は新聞紙1部のみで、電気やガスを一切使用しません。着火から炊き上がりまでの時間は約30分程度です。
2. 本格的なかまど構造
本物のかまどと同じ構造を採用し、鍋底から大火力を加えることで上下の温度差を作り出します。この温度差により、ご飯の甘みとハリを引き出すことに成功。電気炊飯器とは一味違う、かまどご飯ならではの味わいを実現しています。
3. 簡単操作と収納性
火力調整は2つの投入口に新聞紙を交互に入れるだけ。昔ながらの「はじめチョロチョロ、なかパッパ」を、誰でも簡単に再現できます。使用後は高さ約18cmまでコンパクトに収納可能で、防災備蓄品と一緒に保管できます。
魔法のかまどごはんの使い方を詳しく解説
準備するもの
基本の炊飯に必要な道具は以下の通りです:
- 魔法のかまどごはん本体
- お米(1〜5合)
- 新聞紙1部(朝刊程度)
- ライターまたはマッチ
- 計量カップ
- 耐熱の敷物(バーベキュー用の断熱シートなど)
- 軍手やミトン
炊飯の手順
1. 米を研ぐ
通常の炊飯と同じように米を研ぎます。水加減は以下を目安にしてください:
- 1合:180ml
- 3合:520ml
- 5合:850ml
※季節や米の種類によって適宜調整してください。
2. 設置場所の準備
風の影響を受けにくい場所を選び、耐熱の敷物を敷きます。周囲の可燃物に注意し、安全な空間を確保してください。
3. 新聞紙の準備
新聞紙は以下のように準備します:
- 1枚を4つ折りにする
- それを更に4等分に切る
- 1束12〜15枚程度に分けておく
4. 炊飯開始
- 本体を設置し、内釜をセットする
- 左右の投入口から新聞紙を交互に投入
- 下部の着火口からライターで点火
- 「はじめチョロチョロ」を実現するため、最初は2分おきに新聞紙を1束ずつ投入
- 蒸気が出てきたら「なかパッパ」。投入間隔を1分に短縮
- 蒸気が勢いよく出るまで継続
- その後は火力を弱める(投入間隔を3分程度に)
- 蒸気が収まってきたら完成
全工程で約30分程度かかります。
5.お手入れと保管方法
- 本体が十分冷めてから開始
- 内釜は水で濡らしたスポンジで拭くだけでOK(洗剤不要)
- 本体外側のすすは乾いた布で軽く拭き取る
- 完全に乾かしてから保管
- 高さ18cmまでコンパクトに収納可能
- 湿気の少ない場所で保管
- 内釜は本体から取り出して保管することも可能
- 次回使用時のために新聞紙は常備しておくと便利
魔法のかまどごはんのメリット・デメリット
メリット5つ
1. 電気・ガス代が不要
新聞紙1部で炊飯できるため、ランニングコストはほぼゼロ。通常の電気炊飯器と比べると、長期的には電気代の節約になります。特にキャンプなどで使用する場合、燃料を持ち運ぶ必要がないのは大きなメリットです。
2. 本格的な炊き上がり
かまど構造により、一般的な電気炊飯器とは異なる、より粒立ちの良い炊き上がりに。特にお米の甘みとハリが際立ち、昔ながらのかまどで炊いたような味わいを楽しめます。
3. 防災時の強い味方
災害時にライフラインが途絶えても、新聞紙があれば温かいご飯が食べられます。保温機能こそありませんが、温かいご飯は被災時の大きな心の支えになるはずです。
4. 片付けが簡単
内釜は水で濡らしたスポンジで拭くだけでOK。洗剤を使わないので環境にも優しく、キャンプ場でも気軽に使えます。燃えカスも新聞紙だけなので、処理が簡単です。
5. コンパクトな収納
使用時は高さ30.5cmありますが、収納時は18cmまでコンパクトになります。防災用品の保管場所に無理なく収まるサイズです。
気になる注意点3つ
1. 価格が比較的高め
19,800円(税込)という価格は、一般的な電気炊飯器と比べるとやや高額です。ただし、防災用品としての価値や、アウトドアでの使用も考慮すると、決して高すぎる価格ではありません。
2. 屋外専用
火を使用するため、室内では使用できません。ベランダでの使用も避けた方が無難です。また、強風時は使用が難しく、雨天時は使用できません。
3. 保温機能がない
炊きたては最高においしいですが、保温機能がないため、時間が経つと冷めてしまいます。複数回に分けて炊くか、保温容器を別途用意する必要があります。
まとめ|魔法のかまどごはんは買いなのか
タイガー魔法瓶の「魔法のかまどごはん」は、一見高価に感じる価格設定ながら、その多様な活用シーンと性能を考えると、十分な価値のある商品だと言えます。
社畜でズボラな私も、防災グッズを多く備えなくても使えそうなのが良いと思いました。
こんな人におすすめ
- 防災意識が高く、本格的な備えをしたい方
- キャンプやアウトドア活動を楽しむ方
- 環境に配慮した生活を心がけている方
- かまどで炊いたような本格的なご飯を楽しみたい方
購入を検討する際のポイント
- 使用場所の確保:屋外で使用するスペースがあるか
- 使用頻度:防災用だけでなく、日常的な使用機会があるか
- 予算:防災用品としての価値も含めて検討する
価格は確かに安くはありませんが、災害時の備えとしての安心感、アウトドアでの活用、そして何より本格的な味わいを楽しめる点を考えると、十分な投資価値があります。特に、防災用品としてだけでなく、休日のアウトドア調理や非常時の備えなど、複数の用途で活用できる点は大きな魅力です。
まさに「いつものごはんが、もしものごはんになる」というコンセプト通り、日常と非常時の両方で活躍する、これからの時代に相応しい調理器具と言えるでしょう。